こんにちは、Atsuです。
今回は、英語学習に収まらず、どんな分野の勉強にも使える、効率的な「暗記」の方法について焦点を当てた話です。暗記のコツについて語るにあたり、過去に私が米国公認会計士の受験勉強を行なっていた時の話、実際に使用したテキストを例に暗記そのものについて語っていきます。
内容自体はとても普遍的なものになってるため、英語の勉強にはもちろんのこと、みなさん自身がそれぞれ暗記を必要とする場面に当てはめながら、読み進めてください。
Contents
暗記が難しい理由知ってる?原因を3つに分類してみた
暗記の方法について語るに当たり、私が本当に暗記をたくさんしなきゃいけなかった場面であった「USCPA(米国公認会計士)」受験の時を例に話していきます(USCPA:アメリカの公認会計士の資格試験)。
USCPAの試験ではテキストがこれほど分厚くて、これがなんと4冊あったんです。アメリカの受験者の掲示板では、このテキストのあまりの分厚さを半ば皮肉って「電話帳」なんて呼ばれています。
海外からテキスト取り寄せて初めて目にした時は、「これを試験日までに全部覚えて、記憶を試験日までに維持しておくなんてことが可能なのか」と疑問に思わずにいられませんでした。
ただ、実際にpassしている人はいますので、可能ではあるはず。だったら、
「どうやったら効率よく暗記できるんだろうか。そもそも、そのとき私が抱えていた問題点っていうのはなんなんだ」
と考えるところから始めることにしました。
その結果、暗記をする上での問題点というのを識別した結果、大きく分けて三つあることがわかりました。
【暗記の問題点】
1.単純に時間が経つと忘れる
2.情報が似ている
3.情報の量が多い
1.単純に時間が経つと忘れる
一つ目は、単純に時間が経つと忘れてしまう、ということです。例えば今この瞬間、テキストのチャプター1 の部分を理解できたとします。しかし、もしそれと同じ内容を2ヶ月後のテスト当日に説明して、と言われても恐らく覚えていないんですよね。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、人間は一度覚えた知識も時間が経てば忘れるようにできています。
2.情報が似ている
暗記時に情報が似ていると全部同じような情報に見えてしまう、故に正しく暗記できない、というのが二つ目の問題点です。例えばこのテキストを開いて見るとわかりますが、このページとこのページってすごく似ていませんか。
これをパッと開いて閉じた時に、今のページに何が書いてあったのか教えて、と言われても、説明できませんよね。一般的なテキストというのはほとんどが文字の羅列で構成されているので、一見しただけでは特徴がないんです。左と右のページの違いってほとんどないですよね。
3.情報の量が多い
3つ目は、テキストの分厚さと内容の濃さを見てもらうとわかると思いますがとにかく情報の“量”が多い、ということです。少ない情報だったら特に暗記法なんか気にせずともなんとかなりそうですが、さすがにこれだけの情報があるとなると、気合いで覚えようとするだけでは脳のキャパシティー的に無理だな、と思ったわけです。
ここまでで、漠然と「暗記って難しいな」と思えていたものが、とりあえず原因は3つある、ということはわかりました。それでは具体的にそれぞれの問題点に対してどうやって対処していったか、引き続き米国公認会計士のテキストを例に説明していきます。
【解決策】時間が経つと忘れてしまう!効率的に長期記憶を実践する方法
今回の記事では、上記で説明した一つ目の理由である、「単純に時間が経つと忘れる」という問題に対してどうすればいいのか、私が実際にどのように対処していったのかについてお話ししていきます。
これの問題について考える歳には「記憶の忘却曲線」について知っておかなくてはいけません。
「記憶の忘却曲線」とは人間の記憶の定着率と時間の関係性を探る実験結果から作成されたグラフです(縦軸が記憶量、横軸が時間の経過)。
人の記憶というのは一度覚えると、記憶がまずグッと上がるわけです。
覚えた直後の記憶率は当然100%です。
ただ、そこから時間が経つと記憶の定着は以下の写真のように自然と落ちてしまいます。
ここで面白いのは、記憶の忘却の実験によると、
という点です。
完全に落ちる前に復習、落ちる前に復習、これを一定数繰り返し行うと、記憶率は100%のところで安定し始めます。
この領域の記憶を、なかなか忘れない記憶、long term memory(長期記憶)と呼びます。
反対に、グラフの左側部分、時間の影響を受けやすい部分をshort term memory(短期記憶)と呼びます。この部分の記憶というのは、その名の通り短期間しか持続しない記憶なわけです。
さらに興味深いことに、脳のキャパシティーについて考える際、
という点です。
テキストを丸々暗記するといったようなことが求められる場合、短期記憶ではなく、いかに情報を長期記憶にもってけるかが肝になってくるというのが分かってきたかと思います。そして長期記憶に持っていくためには短期間での復習を複数回行う必要がある、ということがグラフからわかっていただけたと思います。
問題点①:時間が経つと忘れる
解決策:長期記憶に持っていく
具体的方法:短期間での復習回数をあげる
【具体的方法】短期間での復習回数を上げるためには
では、短期間の中で復習の頻度を上げる環境を作るにはどうすればいいのか。
短期間で復習方法を上げる上での戦術は、以下の二つです。
1.サクサク前に進める
2.章ごとにこまめに戻る
1.サクサク前に進める
まず、こういったテキストを暗記する上でそもそも念頭におかなきゃいけないことは、テキストをじっくりじっくり読んで、一回で完璧に覚えようとしない、ということです。
というのも、記憶の観点では復習を何回も何回もする必要があるわけです。復習を何回もするためには、一周のスピードを早いペースで回していく必要があります。なので、ここで一番避けなくてはいけない勉強時のスタンスは、一周で完璧に覚えようとしてしまう、ということです。
故に、一回目はできるだけ理解・暗記しようとはするんですが、一番の優先事項はとにかくサクサク前に進めることなんですね。
わからない言葉があったからといって、その都度調べて、その内容をテキストに書き込んだりして、なんかしていると全っ然進まないわけです。
確かに、そういった作業をしてる間はなんか勉強した気にはなるんですが、後から振り返ると全然覚えてない、という状況に陥ってしまいます。とにかく前に進めてその繰り返しの中で少しずつ情報の深掘り作業をしていけばいい。気になる言葉があっても、あえて調べない。
そもそも、1周目からその言葉をわかる・わからないが学習全体を見た時にどれくらい重要なのかって、判断のしようがないんです。学習をある程度進めた上で、「あっ、やっぱりあの言葉って大事だったんだ」とか、中には「その言葉の意味知らなくても結局大丈夫じゃん」ということだってあるわけです。その判断を一周目からすることはすごく難しい。
情報の深掘り作業は最初から網羅的に行うのではなくて、周数を重ねる中でピンポイントで行なっていきます。
なので、イメージとしては、一周目は縦に深掘り作業をするんではなくて、コマのように、横に横にと回転させようとするイメージです。
2.章ごとにこまめに戻る
ここまで述べたように、短期間での復習を達成させるためにテキストの回転率を上げなくてはいけないのは確かなのですが、これだけテキストが分厚いと、いくら早く進めても2周目に入るまでにはさすがに結構な時間がかかってしまいます。なので、このくらいのボリュームのテキストをこなす時はチャプターごとに復習をこまめに入れる必要があります。どう言う事かというと、
「1章→2章→3章→4章」
ではなくて、
このように、次の章に進む前にこまめに直前学んだ章に戻ってあげるのがポイントです。
こう見ると、「一周のペースを上げる上で障害になるのでは」と思う人もいるかもしれませんが、こまめな復習作業っていうのはある程度記憶が維持できている状態ですから時間がかからないですし、じっくり学習するっていうよりかは、「どんなことやったっけ」と、少し脳にかすらせるような、内容を頭に残して上げるようなイメージで結構ですのでそこまで時間はかかりません。
まとめ
暗記方法についての記事第一段でした!
【暗記を困難にさせている三大要素】
①時間が経つと忘れる
②情報が似ている
③情報の量が多い
【①に対して意識するポイント:長期記憶に持っていく】
解決策:短期間での復習回数をあげる
具体的方法:サクサク前に進める・章ごとにこまめに戻る
確かに、人によって暗記力に多少は差があるかもしれませんが、それは目標達成を不可能にするほどの差ではないと思います。
私自身、記憶力がそこまで良い方ではないです(確かに留学先などでは一度見たら大抵のことは忘れないいわゆる『天才タイプ』の人もいました)。「記憶力が悪いから自分には無理だ...。」と諦めていた人は、今回の内容を踏まえて、今一度自分の勉強スタイルを見直してみてはいかがでしょうか!
また、暗記の問題点②と③はまた別の記事で紹介します。そこではさらに復習を楽にする方法が出てくるので、そちらの記事も合わせて読んで見てください!
また、今回ふれた記憶の忘却曲線についてさらに詳しく知りたい方はこちら
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