Distinction

発音・アクセント

【応用編】英語の「音の変化」|リエゾン、リダクション、フラッピングについて

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こんにちは! ATSUです。

それでは引き続き、英語の「発音」に関して解説していこうと思います。(まずは【基礎編】の記事を先に読まれることをオススメします)。

【基礎編】では英語の「発音記号」にフォーカスして、一つ一つの音がどのように発音されるのかを見てきました。

今回の記事は【応用編】ということで、イレギュラーな「音の変化」について詳しく知っていただければと思っています。それでは早速参りましょう!

Contents

英語の音が「変化する」とは?

「英語の母音や子音は一つ一つ正しく聞き取れるのに、文章になると途端に分からなくなる・・・」という悩みはありませんか?

実は、ネイティブスピーカーが英語の文章を話す時に、英語の音はいくつかのパターンに従って「変化」しているんです。つまり、必ずしも発音記号に忠実でない場合があるということです。

「一つ一つの音は分かるのに全然聞き取れない」という悩みは、こうして生まれます。対策としては、英語の音がどのようなルールに従って変化するのかを知ることが有効ではないかと私は考えています。

音の変化を知ると、こんなメリットがある

では、「英語の音の変化」を正しく知ることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

私は、これには大きく2つのメリットがあると考えています。

メリット1. マシンガンのような英語を、正しく聞き分けることができるようになる

英語を聞き慣れていない人にとって、ネイティブスピーカーの音は「マシンガン」のように速く、唐突に感じてしまうでしょう。

しかし、これはスピーキングの「速度」の問題というよりは、音の「変化」による部分が多いように私は考えています。

音の「変化」さえしっかりと追えれば、英語は意外と聴こえるんですよ!

メリット2. ネイティブスピーカーに「正しく伝わる」英語が話せるようになる

ネイティブスピーカーは、英語を一音ずつ、あるいは一単語ずつ word by word で切り離して発音することはあまりありません。

音は繋がったり、消えたり、変化したりしながら、流れるように発音されます。

つまり、ネイティブらしい「自然な英語」を話すためには、私たちも音を適切に「変化」させながらスムーズに発音していくことが不可欠なのです。

以上2点を踏まえ、英語の「音の変化」をしっかりとマスターし、英語の聴解力や表現力を総合的に高めていきましょう。

変化の仕方には、大きく3つのパターンがある

さて、冒頭でもお話ししましたが、英語の音の変化には大きく3つのパターンがあります。 

  1. リエゾン(リンキング)
  2. リダクション
  3. フラッピング

「リエゾン」や「リダクション(音の脱落)」は、なんとなく聞いたことがあるという人も多いかと思いますが、「フラッピング」というのはご存知でしたか?

言葉だけ聞いても何のことだかわからないかもしれませんが、解説を読んでいただければ「あぁ、あのことか!」と納得していただけると思います。

3つの変化 (1)リエゾン (2)リダクション (3)フラッピング それぞれについて、じっくりと見ていきましょう!

英語の音の変化① リエゾン(リンキング)

まずは、一つ目のパターン「リエゾン」あるいは「リンキング」について見ていきます。

リエゾン(リンキング)とは?

リエゾン liaison、あるいはリンキング linking とは、音と音が「つながること」を意味しています。

複数の単語が並んでいる場合、一つ目の単語の「最後の音」と次の単語の「最初の音」が繋がって音が変化する、という現象が英語ではよく見られます。

ここでは、さらに4つのケースに分けて見ていきましょう。

  1. 子音 + 母音
  2. 子音 + 子音
  3. 母音 + 母音
  4. T, D, S or Z + Y

1. 子音と母音が連結するパターン

1語目の「最後の音」が子音で、次に続く語の「最初の音」が母音のとき、つなぎ目がリンクして「一つの音」として発音されることがあります。

子音 + 母音のリエゾンの一例

  • My name is... [my nay miz]
  • hold on [holdon]
  • take out [tei kaut]
  • tell her I miss her  [teller l misser]

2. 子音と子音が連結するパターン

1語目の「最後の音」が子音で、次に続く語の「最初の音」も子音であるとき、1語目の末尾の音が詰まって、省略されることがあります。

子音 + 子音のリエゾンの一例

  • Take the train to get there. [take the train t' ge(t)there]
  • I've been late twice. [I'vbinla(t)twice.]
  • hard times [har(d)times]
  • with luck [wi(th)luck]

※ ' が付いている音は短く詰まり、「子音のみ」発音してるような音になります。また、( )で囲まれた部分はほぼ発音されません(以下同様)。

3. 母音と母音が連結するパターン

1語目の「最後の音」が母音で、次に続く語の「最初の音」も母音であるとき、つなぎ目の部分に "w" や "y" といった音が生じることがあります。
例えば、Who is は「フー イズ」ではなく「フー ウィズ」というように発音されます。

母音 + 母音のリエゾンの一例

  • Go away. [go(w)away.]
  • who is [who(w)iz]
  • she isn't [she(y)isn't]

4. T, D or Zと "Y" が連結するパターン

1語目の「最後の音」が "T", "D", "S", "Z" いずれかの子音で、次に続く語の「最初の音」が "Y" であるとき、以下のように音が変化します。

T + Y = CH

  • What's your name? [wəcher name]
  • I want you to do it. [I wan chew t' do(w)it]
  • I'll let you know. [I'll letcha know]

D + Y = J

  • Did you see it? [didjə see(y)it]
  • We followed your instructions. [we fallow jerin strəctionz]
  • What did your family think? [wəjer fæmlee think]

Z + Y = ZH

  • How's your family? [hæozhier fæmlee]
  • Where's your mom? [wεrzh'r mäm]
  • Who does your hair? [hoo dəzhier hεr]
  •  

英語の音の変化② リダクション

次に、音の変化の2パターン目、「リダクション」を見ていきましょう。

リダクションとは?

リダクション reduction は、音の「脱落」とも言い換えることができます。スペリング上では確かに存在しているのに「発音されなくなる音」、あるいは「極めて弱く発音される音」もあるのです。

リダクションの基本的なルール

基本的に、英単語の「末尾の音」はあまりしっかりとは発音されず、脱落することが多いです。有名な例で言うと、good job の "d" はほとんど発音されず「グッジョブ」となりますし、talking や calling の語末の "g" もほとんど発音されません。

例えば、こんな風に脱落していく

リダクションは種類がかなり多いので、この記事で全てを網羅するというよりは、新たに目にする(耳にする)度にしっかりとインプットしていくほうが良いと思います。以下、わずかではありますが、リダクションの実際の例を見ていきましょう。

"to" が脱落するパターン

  • We have to go now. [we hæftə go næo]
  • To tell the truth, [t' tell ðə truth]

"at" が脱落するパターン

  • Dinner's at five. [d'nnerzə(t) five]
  • I'm at school. [aimə(t)school]

"it" が脱落するパターン

  • Give it to me. [g'v'(t)t' me]
  • It will rain. ['t w'l rain]

"for" が脱落するパターン

  • This is for you. [th's'z fr you]
  • It's for my friend. [ts fr my friend]

"and" が脱落するパターン

  • bread and butter [bredn buddr]
  • We revised it again and again. [we rivaiz didə gen'n' gen]

"are" が脱落するパターン

  • What are you doing? [w'dr you doing]
  • What're you planning on doing? [w'dr yü planning än doing]

"some" が脱落するパターン

  • Some are better than others. [s'mr beddr thənətherz]
  • Could we get some other ones? [kwee get s 'mother w'nz]

・・・上でも触れましたが、まだまだ種類があります(笑)。と言うのも、音が脱落するかどうかは「ケースバイケース」だからです。以下、少しだけ補足をします。

リダクションはケースバイケース?

リダクションの基本ルールとして、英単語の「末尾の音」はあまりしっかりとは発音されず、脱落することが多いと説明しました。

上記に加え、音が脱落するかどうかは「スピーカー本人が強調したいと考えているかどうか」にも左右されるんです。つまり、文章の中でその単語が重要であれば明瞭に発音し、さほど重要でなければリダクションしやすいということです。

例えば、bread and butter の "and" [n] は、通常であればほとんど発音されませんが、仮にスピーカーが「パンだけじゃなくて、バターも!」というように強調したい場合には bread AND butter [bread æ'n buddr] というように "and" をしっかりと発音する可能性もあります。

ですから、「and = 脱落」という風に覚えてしまうのではなく、臨機応変に、文意を汲みながら聴き取ることも重要ですね!

英語の音の変化③ フラッピング

最後に、音の変化の3パターン目「フラッピング」について見ていきましょう。

フラッピングとは?

フラッピング flapping とは、語中の "t" が、[r] や [d] のように発音される現象を指します。フラッピングはパターンが少ないので、サクッと覚えられると思います。

フラッピングされる単語(フレーズ)の、2つの条件

  1. "t" が母音に挟まれていること
  2. "t" の直前にアクセントが置かれること

以上2つの条件を満たすと、"t" の音が濁って [d] のように発音されます(ちなみに、この時のdは厳密にはフラップdと呼ばれて、[r]寄りの[d]の音です)。

※フラップ flap とは「パタパタと動く」ことを意味します。舌をパタッと弾いて発音することから、このように呼ばれています。

フラッピングされる単語(フレーズ)の一例

  • water /w'ɔːdɚ/
  • later /'leidɚ/
  • better /'bedɚ/
  • get it /'geddə/

waterは「ワーダー」、betterは「ベダー」、get it は「ゲディッ」、という風に "t" の音が濁ります。 フラッピングとはこの現象を指します。

条件に当てはまらなければ、フラッピングは起きない

逆に言えば、2つの条件を満たさない単語ではフラッピングは発生しないんです。例えば、"t" 語頭にある tomorrow という単語では "t" は [t] のまましっかりと発音されますし、アクセントが "t" よりも後ろにある quota'tion という単語でも、"t" の音は変化しません。

注意! イギリス英語ではフラッピングはしない

注意しなければならないのが、イギリス英語における発音ではフラッピングは起きづらいという点です。例えば better という単語は「ベタ(ベツァ)」、water という単語は「ウォータ(ウォーツァ)」という風に、"t" をしっかりと立てて発音します。

TOEICやTOEFLでは、アメリカ英語以外の英語も登場しますので「例外の例外」として一応知っておいてください。

英語の「音の変化」をしっかりマスターしたいなら・・・

ここまで、英語の「音の変化」の3つのパターンを見てきました。いかがでしたか?「もう少しじっくり練習がしたい!」という人は、発音マスタークラスにチャレンジしてみてください。
 
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まとめ

今回は、発音の【応用編】ということで、英語の音がどのようなルールで変化するのか説明しました。実際の英会話では、(1)リエゾン (2)リダクション (3)フラッピングが至る所に隠れ潜んでいます。

こうした音の変化をしっかり把握できれば、英語の聴解力だけでなく表現力まで大幅に向上させることができるので、一緒に頑張っていきましょう!

※当記事で紹介した英文・フレーズのうち一部は、発音教本『American Accent Training』より引用したものです

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